皆さん、こんにちは。
・アニメなんだから娯楽としての要素以外ないでしょ。
こんな風に思われる方は少なくないでしょう。ただ、プリキュアを侮ってはいけない。これは2004年から17年も続くブランドと言っても過言ではありません。
僕は、大手の電機メーカーと食品メーカー合わせて8年ほどのキャリアがあります。家電のような機能優位なもの、お菓子のような情緒優位なもの、両極端の商品に携わることによって色んなコンテンツにもお客さんにとって意味合いやメッセージがあるというマーケティングマインドに至ることができました。
この記事では、2021年放送開始の『トロピカルージュプリキュア』が何故に今の日本を救うようなマーケティングをしているのかと考えた理由についてお話します。
この記事を読んでいただければ、ご自身の専門分野でないアイテムや広告でもそのマーケティング活動の一環を考えるきっかけの助けになると思うので、是非最後まで読んでみてください。
※ホームページ以外のネタバレはしないようにします。
①物語の背景
この放送が始まった2021年3月、我々の生活にはコロナ禍の影響がまだ多く残って、その前後とは全く違う生活を余儀なくされていると思います。
その中でこの『サマー』と『童謡』というテーマを用いたことは非常に現代の背景を読み解いた秀逸なものと考えています。
理由をもう少し詳しくお話します。
まず、コロナ禍に陥り我々の消費行動は変化したのは実感されていると思います。具体的には、市場動向としてもビッグブランドに売上が集中する傾向になりました。
つまり手早くかつ収入が減った今では安心、失敗しない買い物をする流れが続いています。
そこで皆が慣れ親しんだ『童謡』でストーリーの理解のハードルを下げるというウマさがあったと思います。
そして童謡の中からの選択として、ターゲットの女の子に人気の作品かつコロナ禍で落ち込んだ気持ちを明るくしてくれる『夏(サマー)』をテーマに選ぶことで『人魚姫』の題材の選定に至ったのではないかと考えます。
②低迷した産業と気持ちを上げるという課題
コロナ禍で売れなくなったものがあります。
外に出て人に会う機会が激減したため「アパレル、ヘアセット、化粧品」これらの業界は深刻なダメージを受けています。
これは実際のデータがあります。
そして我々の気持ちはどうでしょう?家に閉じこもることを余儀なくされ孤独な時間が増え、気持ちを元気にすることが難しい現状にあります。
これもとても悲しい現実ですが、データとして浮き彫りになりつつあります。
自殺11年ぶり増 コロナ影響か、女性や若者が増加(日経新聞)
この課題に対してトロピカルージュプリキュアは挑んでいると思いました。
彼女たちのプリキュアへの変身は明らかにこの「アパレル、ヘアセット、化粧品」を題材に4人いるそれぞれチャームポイントとして「リップ、チーク、アイズ、ヘア」そして全員個性的な「ドレス」これを唱えながら変身していきます。
どこまでを戦略として見ているか分かりませんが、大人の利用が減った化粧品などのエントリーを幼少の女の子からスタートさせ母集団を増やす。
そしてそれを親にまで波及させ購買を促すというストーリーもあるのかもしれません。
次の章で詳しく解説しますが、プリキュアに返信する主要キャラクターたちはこのメイクアップによって自分に自信(自己肯定感)を高めていきます。
③今を生き抜くマインドをキャラでメッセージ化
主要キャラクターたちがプリキュアに変身(メイクアップ)することで気持ちを前向きにしていく描写が描かれています。
僕はこの気持ちの持ち方がコロナ禍の今を生き抜くマインドの持ち方を応援そして肯定してくれているのではないかと考えました。
キュアサマー(内なる活力)
主人公の「キュアサマー」。彼女は田舎の島から本土にやってきて青春を謳歌するべく、もの凄いエネルギッシュに色んなことに取り組んでいきます。
まさに常夏の「太陽」内側からエネルギーを発し続ける彼女に巻き込まれるように人が集まり、物語は進んで行きます。
今失われがちなシンプルな元気・活力を内から出すことを考えさせられます。
キュアコーラル
彼女には「自分の好きなもの、ありのままの自分を偽らない」という役割があったように見えました。
プリキュアになる前後でこんな描写があります。
雑貨屋さんで同級生と買い物をしたとき、彼女の感性で「カワイイ」と思うものを見つけた。でも、他の子は全く趣向の違うものに「カワイイ」」と盛り上がり、自分の気持ちを押し殺していました。
しかし、自分が自分のままでいいと実感した彼女はプリキュアになり、その後の雑貨屋さんでの買い物では自分が「カワイイ」と思えるものを素直に主張できるようになりました。
強制的に右向け右の社会の大きな波があります。その中でも自分の良いと思えるものを貫く肯定感。さすが大海原にいるコーラル(珊瑚)という感じです。
キュアパパイヤ(自分を信じて実行する勇気)
「自分の好きなことを信じて実行する勇気」というメッセージが彼女にはありました。
人魚に憧れがあり、物語を書く彼女ですが、それを否定され自信を失い「どうせ私にはできない」という気持ちが定着してしまっていました。
しかし、主人公たちとの出会いを通して「できないと思う自分への決別」を果たし、自分の力で前に進む力と大切さを見せてくれます。
どこか社会活動だけでなく、コロナ禍の大きな流れで個人の無力さを感じることも多いですが、それでも自分が勇気を持ってアクションすることの大事さを伝えてくれます。
キュアフラミンゴ(他人に手を差し伸べる優しさと強さ)
彼女の初回登場回で「他人に手を差し伸べる優しさと強さ」のメッセージを感じました。
そもそもフラミンゴ。かなりの群れで活動する動物です。原作の彼女は訳あって今は群れるということにネガティブな感情を持っているようですが。。
さて、彼女は成り行きながらも主人公たちの手伝いを快く引き受け、そしてピンチのときに何の見返りも求めず助けに現れ、プリキュアに変身して敵を倒していきました。
ストレスフルでイライラしがちな昨今ですが、何の見返りもなく誰かを助ける優しさ、心の余裕持ててますかね?
大人としてもこういう気持ちは忘れてはいけないなと思いました。
まとめ
長くなってしまったのですが、今期の『トロピカルージュプリキュア』がこのコロナ禍を背景としたマーケティング、そして我々の心の在り方についてヒントをくれるようなアニメであることをご紹介しました。
子ども用のアニメと侮ることなかれですね。
非常に良く考えられてメッセージ性のある作品になっているので今後も楽しみです。
以上、何か情報が役に立ったり、考えるきっかけになったら嬉しいです。
今日はこのへんで。どうもありがとうございました!
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