皆さん、こんにちは。
今回は日本のスティック掃除機の軽さ競争があまり意味がないことを自分なりに作った掃除機のニーズセグメントをもとにお話したいと思います。
結論
「軽い掃除機が欲しい」というニーズは存在しないからです。
一見ニーズのように見えます。お客さんの口からもこういった言葉が出てくるでしょう。そして、販売するときも「こっちの方が軽いですよ」というトークが簡単でしょう。
しかし、これはマーケティングの例え話でよく出てくる『ドリルと穴』の話に似ていると思います。お客さんはドリルが欲しくてドリルを買っているのではなくて、穴を空けたいからドリルが必要だったという話ですね。
アメトーーク!の家電芸人で取り上げられていて、どうも黙ってられなかったので、以下が僕なりの理由です。
軽い掃除機は何を提供してくれるのか?
これは何故「軽い掃除機が欲しい」のか?この問いを何故なぜとという続けると見えてくるようになります。以下は自分なりの解釈なのであしからず。分かりやすくするため、スティック掃除機に的を絞ります。
Q.何故、軽い掃除機がほしいのか?⇒A.掃除をするとき腕がしんどいから。
Q.何故、掃除をするとき腕がしんどいのか?⇒A.掃除機全体を片手で持ってあちこち掃除する必要があるから。
Q.何故、掃除機全体を片手で持って掃除をするのか?A.掃除機の持ち手が片手分しかないから。
ここで打ち手としては、両手で持つ掃除機、もしくは、掃除機を持たないといった手段が出てきます。
僕の仮説としては、軽量化の行きつく先は本当は掃除機を持たないこと『掃除からの解放=自由』がニーズなのではないかと考えます。
それでは、Q.何故みんなロボット掃除機にならないのか?⇒A.人間には、『自分で掃除したいというニーズ(自己効力感)』と『細かい所まで掃除がしたい!というニーズ(清潔)』このニーズがあるため、すべての人がロボット掃除機に移行しないのだと考えています。
掃除機のニーズセグメント
我流で考えただけなので、これが大正解だとは思いません。もっと正確に情報を集められる調査データがある企業などはもっと精巧なニーズセグメントを作っているかもしれません。
中身を説明すると、以下のようになりそうです。
- 『誇りニーズ』:自分の誇りをかき立ててくれる。使うこと、持っていること、そこにあることが嬉しい。
- 『自己効力ニーズ』:自分の力で掃除をしたい。自分の思うままに操って掃除をこなしたい。
- 『自由ニーズ』:掃除から解放されたい。掃除をラクにしたい。自分の赴くままに掃除がしたい。
- 『清潔ニーズ』:汚いと自分で判断したところを徹底的にキレイにしたい。
- 『機能ニーズ』:掃除機として吸えて掃除ができたらOK。あまりこだわりなし。
各ブランドとアイテムをニーズセグメントに落とし込み
海外のメーカーを贔屓しているわけでは決してありません!回しもんでもありません!日本の家電が好きです!ただ数歩下がった位置から眺めるとやはりこんな感じになっているような気がします。
本当はもっと細かくスコア化すべきところですが、事例紹介のため主観・感覚であることご容赦ください。
【ダイソン】キャニスター、スティックともにブランド優位
ブランド力の高いものはそれだけ市場での影響も強く、ブランド資産も貯まっているので、おのずと広範囲のニーズをキャッチすることになります。
ここで言うと有人掃除機の【ダイソン】のポジションは、ネットの売れ筋から見ても広範囲でニーズを満たしつつ、持っているだけで誇らしい気持ちまで抱かせてくれると思います。
ダイソンからじゃないですかね?スティック掃除機をインテリアのように部屋に飾るように収納するような提案を始めたのは。「ダイソン、持ってるねん」って、部屋に出してても何も恥ずかしくないし、ちょっと自慢。
【エレクトロラックス】飾れるインテリアっぽいデザイン
そもそも部屋に置くというスタイルを取った掃除機としてデザインされています。ダイソンほど、大きな存在ではないものの、インテリア家電のような特殊なポジションを見つけていると思います。
【マキタ】質実剛健
吸えればよし!でもしっかり吸って、電池も長持ちと、非常に実用向きな掃除機ですね。シンプルに機能を研ぎ澄ませているからこそ逆に確立できたポジショニングだと思います。
【ルンバ】無人ロボット掃除機の王者
もはや、無人掃除(ロボット掃除機)で『自由ニーズ』の筆頭です。圧倒的に君臨しているため、一つのブランドの機能ブラッシュアップや機能の追加で様々なニーズを獲得できるブランド資産の底上げができていると思います。
まとめ:どこへゆく日本メーカー
最初にお話した「軽いスティック掃除機」の競争があまり意味がないこと少しご理解いただけたなら幸いです。「軽くする」という手段はあくまでニーズを満たすための一要素。
どんなニーズが存在するのかを改めて把握し、自分たちが築き上げるブランドの立ち位置を決めて、強くならなければ、いつまでも横綱には負け続けてしまう。局地戦に持ち込みつつ、勢力を拡大する。こんな戦略が必要なのではないでしょうか?
ここに挙げたニーズが全てではないかもしれません。日本メーカーも『改善』で凌ぎを削るのではなく、お客さんの本質を見抜いて、「あっ!」と言わせてくれる商品を出してくれると信じてます。
それでは、今日はこのへんで、何か身の周りや関わるサービス・商品への気付きになったら嬉しいです。
どうも、ありがとうございました!
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